2009年2月6日金曜日

いいこと考えた!トイレにて

私の見ている子どもたちが最近ひとりでおしりを拭けるようになりました。一緒にトイレまでついて行かなくてよくなったので私は以前より少し楽です。

しかし、今日は弟のトマがトイレに行ったきりなかなかもどってこないので、どうしたのかと思っているとお兄ちゃんのテオが、

「そんなに使ったらだめなんだぁ!」
「いけないんだ~!!」

などとトマに怒っている声が聞こえてきました。そしてその数秒後に

「トマが悪いことしたよ!」
「すっご~くいけないことしたんだよ!!」
「とにかくすっごいわるいことだから、すぐに見に来て!!」

と私の顔面2センチ前のところで大興奮。

そんなに興奮しなくても。

テオはときどきトマの失敗をとりあげて手柄にしたいところがあるし、トイレの失敗くらいたいしたことじゃないんだけどなぁと思いながら様子を見に行きました。

お兄ちゃんにさんざんどやされ、私が呼ばれたのもわかったので、トマはトイレの内側から鍵をかけようとしているところでした。

もしかしたらおしりがふけなくて困っているのかもしれないのでちょっと強引に扉をあけ、

「何をしたの?どうしたの?私はぜんぜん怒ってないし怒らないから言ってみて。」

と聞いたところ

「トイレに入っても手が汚れないようにしてるの!見ないで!」

と泣き出しそうなトマ。その片手は肘が隠れるくらいまでトイレットペーパーがぐるぐる巻きになっていました。

なんでも真似してみたいお年頃なので、幼稚園の友達が同じことをしていたのを思い出したのかもしれません。彼が思いついたのかもしれません。彼は手を汚さずにトイレに入るグッドアイデアを試していたのでした。うまく腕に負けなかった紙とあわせて、約1ロールのトイレットペーパーを一度に流したために出てきたときにはトイレはすでにつまっていました。

「ほらね、ね、トイレットペーパーぜ~~~~んぶ使っちゃったから、トマのせいでトイレつまっちゃったんだよ!」

とテオはますます興奮。こういう時わざとトマの気に障る言い方をするのが少し気になっているところですが、私ははテオをまず落ち着けることにしました。子どもが妙に興奮して仕方ないときは、こちらはできるかぎり落ち着いて話すのが有効です。

「手を汚したくなかったんだって。ちゃんとわけがあったのよ。トイレがつまったかどうかは、トマが出た後みてみるから、テオは2階のトイレ使っておいで。」

とできるだけ小さい声でゆっくり言って2階のトイレに上げました。効果抜群でした。

そしてトマには

「自分の頭をよく使って考えたんだね。それはいいと思う。」

といいました。

「でもね、こんなに使うとトイレがつまるし、拭く紙がなくなっちゃうから、手は汚れたらあとで洗えばいいのよ。」

とその後付け足しました。

私が思うに、ここが大人の関わりのポイントです。ここでの大人の言葉掛けや振る舞いが発達のための援助にもなれば、下手をすると妨げにもなるということです。

大人が「いたずら」と判断しがちなことも、子どもにとっては大事な「実験」ということはよくあります。

おなじ行為でもただ大人を困らせようとしてする場合と、子どもらしい純粋な探究心から来る行為な場合とがあると思います。トマはこのたびは、純粋に試してみたい気持ちにかられてしただけであって、本人は全くいたずらをするつもりではなかったはずです。大人を困らそうというつもりではないのです。そういうときに私はトイレがつまったとしても、トイレットペーパーが1ロール「無駄」になったとしても、いきなり子どもをしかったり、怒ったりすることはしたくないのです。なぜなら、子どもが自分の頭をつかって何かオリジナルな考えを思いつき、行動にうつしてみる、という行為は非常によいことだと思うからです。このような繰り返しにより、思考力、イマジネーション力、行動力、などさまざまな力が培われ、それが生きる力になっていくと思っています。ですから、その本来すばらしい行為を大人に否定された、という印象を子どもがもたないように大人はよく注意しなければならないと思います。

罪を憎んで人を憎まず というとちょっと違うような気がしますが、トイレットペーパーを使いすぎたことや
トイレを詰まらせてしまったことと、その子が自分の頭と手をつかって何かをやってみようとしたことというのは別にして考える必要があると思います。

私は毎日ほんの数時間一緒にいるだけですが、トマののときどきみせるこういった子どもらしい思いつきがなんともいとおしいです。彼の創造力、そこからはぐくまれる生きる力の芽吹きがどんな障害に遭ってもつぶれることのないようにと願います。

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