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2009年8月23日日曜日

ブリュッセルの絵本屋さん

絵本屋さんに行ってきました。「こどものための本」と書いてあります。
ブリュッセルについて2日目で初めて町にでました。一人でふらっと出かけて、近所の商店街へ。ほとんどステイ先のお宅と公園のですごす日々で、いろいろ忙しいのですが、気分はすごくのんびりです。
ブリュッセルの空気はパリよりずっとのんびりしている気がするのは私だけ?





前回の滞在でみつけた絵本やさんで、絵本を一冊購入しました。本当は他にも2,3冊気になった本があったのですが、フランスに持ち帰ることを考えると、ためらってしまいました。どちらにしろフランス語の本なのでフランスで探したほうがいいということに。


絵本屋さん Par quatre chemin UCCLEというコミューンにあります。






今日選んだのは「くまくん、こわがらなくてもいいよ、ぼくがわるいやつらからまもってあげる」という意味の長い題名のついた絵本です。相棒のぬいぐるみくまくんと森へ出かける小さな男の子のお話です。物語絵本の基本構造ともいえる「ゆきて帰りし物語」となっているところや、着ぐるみのパジャマを着て森に出かけるところ、森のなかに恐ろしいけものがいる(かもしれない)という設定、イラストのタッチ、どれもモーリスセンダックの「かいじゅうたちのいるところ」と同じで、雰囲気がとてもよく似ています。

はじめは僕が守る、と息巻いていたのに、だんだん、森にいるかもしれないわるいけものたちがこわくなってきて、くまくんに頼るようになり、少しずつくまくんが大きくなっていく様は、子どもの自立心と依存心の有り様を非常によくあらわしています。このくまくんの大きさが変化するというのがこの本のファンタジーです。この絵本のオリジナリティでもあります。絵には余分なところがなく、やさしく落ち着いた色使い、こまかな表情も描いており、子どもに共感されそうな絵本だと思います。ただ、ひとつだけ残念な点があります。そのせいで、この絵本は名作にはなれないだろうと思ってしまいました。この男の子がどうして森に行くことになったのか、そこが描かれていないのです。どうして眠る直前の男の子がわざわざ森にひとりででかけていくのか?そこが描かれていないのです。これは大きな描き落としだと思います。子どもが共感できるためには、物語の始まりに、子ども(とすべての読者)が納得する理由がきちんとなくてはなりません。「かいじゅうたちのいるところ」にはしっかりとこの点が描かれています。これが名作たる由縁でしょう。物語には、物語の始まる理由がきちんと描かれているからこそ、しっかり帰ってこられるのだと思っています。本当に良い絵本は絵やストーリーの一部のみからでは判断できず、すべての必要な要素が一冊にきちんと盛り込まれているかどうかをしっかり見定めないといけないという良い例だと思います。

でも、せっかく他の面では良い絵本なので、お手伝いしている育児サークル(外遊びの会)で子どもたちに是非読みたいです。物語の始まりの部分におはなしを付け足して読んでみることにしようと思います。作者の作品であるひとつの完成した絵本に生意気な試みをして申し訳ない気もしますが、絵本は子どもの文学作品の一つであると同時に子どもと大人が一緒に楽しむ道具の一つとも言ってよいのではと思っています。足りない要素があれば足して、この本がもっと活きるようにすればよい。そう思います。


絵本の作者のHP

Martha Alexander
http://www.geocities.com/scbwihawaii/members/alexander-m/alexander_m.html

2008年8月29日金曜日

絵本の会(2007)の絵本リスト

これまで開いた「お母さんのための絵本講座」と「絵本の会」に登場した絵本の紹介です。

『はじめてのおつかい』
(筒井頼子 作 林 明子 絵: 福音館書店)

もう一回読んで!といわれることがとにかく多いこの本。誰でも「みいちゃん」と自分を重ね合わせて、100円玉を握り締める汗ばんだての感触まで感じてしまいます。


『てぶくろ』(ウクライナ民話 エウゲーニー・M・ラチョフ 絵 内田 りさこ 訳:福音館書店)

―子どもの想像力の中では、熊でも何でも無制限に入っちゃうと思うんです。面白いじゃありませんか。―(瀬田貞二 著 『幼い子の文学』より抜粋)


『ぐりとぐら』
(なかがわりえこ おおむらゆりこ:福音館書店)
 
早起きとおいしいおやつ。こどもの生活に寄り添った日本の誇る名作。世界各国で翻訳され、世界中の子どもたちに愛されています。


『おおきなかぶ』
(ロシア民話 A・トルストイ 再話 内田りさこ訳 佐藤忠良 画)

ことばの面白さに気付かせられるリズミカルなテンポが楽しい一冊。無駄な言葉が一切ありません。幼稚園では「うんとこしょ、どっこいしょ」とみんなで声を合わせたものです。なかにはものがたりをすっかり覚えてしまう子もいました。


『かばくん』
(岸田 衿子 作 中谷 千代子 絵 :福音館書店)

ポイントはどのページにも描き込まれている「かめ」の存在。かばの大きさが引き立っています。文と絵がちゃんとぴったり合っているのをこどもたちは見逃しません。さりげなく文章に書かれている下駄をはいている子どももいます。地味なのにずっと子どもに愛されているのはよい絵本の要素がつまっているからでしょう。


『にぐるまひいて』
(ドナルド・ホール文、バーバラ・クー二ー絵:)

古きよき時代の田舎で生活する人々の生活が静かに淡々と描かれています。大人も「素敵!」と感じる美しい絵本。春には種をまき、秋に収穫し、羊の毛を紡いだ糸で冬は毛糸の靴下や藁ぼうきをつくり、市場にすべて売りに行き、また春がやってくる。自然の恵みに本当に感謝してつつましく生活する家族の1年のお話。


『もりのなか』
(マリー・ホール・エッツ :福音館書店)

絵本の古典といわれる名作。ファンタジーの世界を壊すことなく現実の生活に連れ戻してくれる最後のお父さんの一言が好きです。続編は「また もりへ」


『かいじゅうたちのいるところ』
(モーリスセンダック)

まだ眠たくないいたずらな男の子は森になった自分の寝室から、ヨットに乗ってかいじゅうの島へ旅にでて、ぐりぐりの目をしたかいじゅうたちと出会います。「もりのなか」同じく、この作品も「行きて帰りし物語」。ストーリーはもちろん、かいじゅうが月夜に踊っている場面など絵の魅力に引き込まれます。
おやすみまえの読み聞かせにおすすめ。


『ぼく にげちゃうよ』
(マーガレット・ワイズ・ブラウン :ほるぷ出版)

うさぎのぼうやとお母さんとのおはなし。「ぼく~~になっちゃうよ」「それならかあさんは~~~」という2匹の会話の繰り返しで構成されています。おかあさんはどこまでも子どものあとをついて寄り添おうとします。家庭でお母さんから読み聞かせて欲しい一冊。「怒り過ぎてしまったな」と感じた日にはぜひ。

『こんとあき』(林 明子 作)

林 明子さんの絵は人の表情や背景の細部まで、とても細やかで味わいがあって大好きです。子どもが何かを見つけたら納得するまでページを繰る手をとめて、お母さんも一緒に楽しんでくださいね。

『ババールのこどもたち』(ジャン・ド・ブリュノフ:評論社)

フランス生まれの人気絵本。もともとは画家だったこの作家が、自分の子どもたちを喜ばせようとしてお話を方って聞かせたことがはじまりで、家族の愛がつまっています。シリーズのなかで私はこの作品が一番好きです。

『3びきのこぶた』(イギリス昔話:福音館書店)

擬人化技法のリアルな豚がユーモラス。古くからイギリスで受け継がれてきた物語を忠実に描いていると思います。わたしにとってこれがほんとうの「3びきのこぶた」のお話です。

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