L'homme total ロム トータル
というテーマだった先週の授業。
先生はドイツとフランスの血を継受け継ぐブルジョワ家庭でお育ちの68年世代 レミ エス 先生です。
研究手帳が専門でいつもカバンにたくさん小さなノートを入れてきて学生に自分の日誌を見せてくれます。
趣味はタンゴと絵画(半分プロ)と料理。最近タイチもはじめたらしいです。多趣味でございます。
授業の主題は自己形成や人格形成、ライフヒストリーなどについて生涯教育の観点からの講義です。私たちの学科専用の小さな研究室に15人ぐらいがぎゅうぎゅう詰めで席につきあとの3、4人はその辺の無造作においてあるテーブル等に適当に座ります。
とても穏やかな先生で、私は大好きな先生です。 ただしジョルナルという手帳だけで3時間話すので、リピート部分が毎回多くなっていく、どんどん眠くなっていく授業。先生も毎回同じ話をするけれど、話しながら新しい発見をすることがあるから、と満足そうにはなされておられます。
今回は人間の構成要素についてフロイトとラカンの理論の説明の流れで
スピリチュアリテ
というのがとても重要という話に。
さて、
スピリチュアル。
という言葉を聞いて、みなさん何が頭に浮かびますか?
15行分くらいでぱっと考えてみてください。
さて、なにが浮かびましたか?
先生は 神、信仰という言葉をたくさんつかって説明していました。
神、信仰...
うーん、わたしは実はあまりピンと来なかった。
思い当たる理由は
1 霊について 日本では霊性とスピリチュアルとを使い分けている
霊という感じで思い起こされる幽霊、霊園など怖くてネガティブな感覚がスピリチュアルという横文字で一気に解消されるものね。
江原さんにやさしい先祖の霊が降りてきて、とある家族が長年滞っていた問題がじつは先祖の霊の弔い方にあった。なんて、ホラー映画を見すぎの人には実際結構怖い話でしょう。
2 神の存在感 西洋が神と人間の縦1本の個人的で垂直な関係、日本は八百万の神に表象されるように横にゆったりと広がっている
敬虔なクリスチャンホームで育った先生なので、なるほどなのですが、こういうとき、文化色メガネをこちらで気づいてかけ直さないといけないのが外国人留学生の身の上です。
先生の言うスピリチュアリテは個人的な信仰の熱心さに置き換えられるような感じ。熱心さがないと保てない感じ。
私はスピリチュアリテというのははみんなにあって、開眼している人とそうでもないひとと、全然気にもしない人といろいろいて...
ちなみに、私は 江原さんのスピリチュアルブックの表紙にありそうな、空気中にオーロラ色のオーラが漂っているイメージ。
シュタイナーのエーテル体やアストラル体みたいなオーラ的なものとか。
見えないものだけどそこにある、という感じ。お化けみたいな怖いものでなくて、人間の霊的な部分を研ぎ澄ませないと感じ取れないもの。
このような文化による抱くイメージの違いは思想の違いにも深く関係していますね。言語学はソシュールについてレヴィストロースからの構造主義の流れですこし読んだくらいだけれど、最近読んだ内田先生の現代思想のパフォーマンスという本は他の構造主義の解説本がさらっと流している認識論、言語学の説明が非常にわかりやすかったです。
私のプチ異文化体験、他の学生にとっても先生にとってもきっと興味深いはず。フランスにいるとだんだん麻痺してくる私の日本人的感覚がせっかく違和感をキャッチしたのだから、このブログにもできるだけ書き留めて、自分の研究日誌にフランス語にしてつづっておくための下書きとして使いたいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿