先日観たい映画としてメモしていた
Ce n'est qu'un début (それはただの始まりでしかない。という意味)
とある公立幼稚園で愛や死などをテーマに哲学のアトリエを子どもたちに向けて2年間行った記録をまとめたドキュメンタリー映画。
もともととても小さく上映されていて、観客は少なかったです。でも幼稚園や保育園の先生っぽい人がちらほらいました。
心理学や哲学の先生が子どもたちに難しい講義をするわけではなくて、そこの幼稚園の先生が日本でいうお集まりの時間に朝の決まった時間に子どもたちに哲学って何?愛って何?と質問するスタイルで、先生は子どもたちの言葉をひたすら引き出す役目に徹していました。
最初は全然質問と違う答えがかえってきたり、まったく反応がなかったりするわけですが、回を重ねるうちに、テーマからぶれずに長い時間意見をだしあったり、子ども同士で意見の言い合いになったりして興味深かったですよ。
■たとえば愛について。 (丸々台詞を書き取っているわけではないです)
先生 愛って何?
子ども 私は恋人がいるの。
先生 恋人って?どういうこと?
子ども 口と口でキスするの!あと手をつなぐの。
子ども お父さんとお母さんは愛してるから、結婚してる。 でもときどき喧嘩してもうこんなんなら離婚しよう!って言うときもある。でもまた仲良しになる。
男の子 女と女は結婚できないんだよ
先生 じゃあ女の子と女の子は愛し合うことができないのかしら?
女の子 私は妹がいて結婚するのはできないけど、でも妹のことを愛してるの。
中には
■ シェフってなに? 権力について
先生 みなさんはニコラ サルコジ をしっていますか?
子ども1 うん、しってる! うちにいる。
子ども2 うん、しってる! うちのお父さんとおんなじ会社で働いてる
子ども3 刑務所にいる
■ インテリジェンスってなに?
女の子 うちのお母さんはインテリジェントよ。いっつもヌテラは冷蔵庫に入れちゃダメ!って言ってる。
など中にはぷぷっと笑ってしまう反応もあって、観客みんなで大笑いした場面などもありました。
子どもたちの言葉はいつでもとても具体的ですね。子どもの言葉は生活体験そのものです。子どもが活者といわれるゆえんです。小さな子どもは大人のように抽象的な概念をつかって話をすることができませんが、大人と同じように感じ、自分の体験と照らして考えることができることができます。あまり子どもの言葉を尊重しないように見えるフランスの社会で、こういうフィルムを大人たちはどういう風に見ているのでしょうか。
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