2010年4月24日土曜日

precious


NYのハーレムに住む16歳の女性を主人公にした映画です。私の研究は住宅問題に関わる社会学ですが、住宅問題の多くは貧民街の抱える様相のひとつなので、見ておきたいと思いました。パリの場合、一番貧しい人たちは町の外に住んでいるという違いはあるけれど、貧民街の多くの子どもたちが家族や学校など社会集団で多くの困難に出会っているのはかわりありません。



この16歳の少女にも虐待、妊娠、退学、ほとんどすべてといってもよいくらいの問題が彼女に降り注ぎます。目を覆いたくなるような家族からの虐待にも抵抗できない彼女が、オルタナティブ教育に出会って、というか一人の女性教師に恵まれて変わっていきます。暴力という強制的な力で押し込められていた自分の言葉が、あなたの思いを書きなさい、という教師のいざないで変わっていくという物語です。87年のNYという設定ですが、写真の人物が動いて語りかけたり、教師になんとなく後光がさしていたりとこまかな現代的な手法でのエフェクトがやりすぎでなく使われていて、この映画の雰囲気をくずさず、表現力をより豊かなものとしていると思いました。

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