2008年9月16日火曜日
書評:『日仏カップル事情』
『日仏カップル事情』―日本女性はなぜモテる?― 夏目幸子(光文社新書)
この本が新書として出版されていることが信じられない。
日仏カップルについてのフェミニストの極端に偏った批判的意見である。
著者は日仏カップル事情について、よりはそれを語ることによって男女不平等な日本の社会、パリに何かをもとめて現実逃避する女性、主張するフランス女性と対等に渡り合えないフランス人男性を批判し、日仏カップルにあってはそれぞれの無意識的、否定的願望が根底にあって、結びついており日仏カップルは最悪だ、といいたいようである。フランスは男女平等が日本よりも行き渡っており、フランスの女性は自分の権利を主張し、自立していて素晴らしい、という立場から日本の女性とフランス男性を批判している。
日仏カップル事情なのに、話は日本の「男女不平等」「パリ症候群」「負け犬」「勝ち組」などタイトルとは遠い話題が続く。読んでいて「?」がなんども浮かび、著書の考えをこちらが推測してあげないとならなかった。それがまっとうな意見ならまだしも、見つかるのは著者の偏った個人的な見解でしかなかった。
レッテル張りも多く、パリ留学生としては勝手に分類分けされた感があって気分よく読めなかった。
日仏カップル事情はこうだ!と断言した後になぜか事例はアメリカ人の友人だったりもする。自分の論が通すために自分の都合のいい事例を引っ張ってきているだけだ。
読み進むうちに、これは「フェミニストの偏った一意見」として読むのがよいだろうと思った。
役に立つ意見でもないので読まないほうがよいくらいだ。
著者がどんな意見を持っていようと構わないのだが、この本がどのような立場で、どのような角度から書いているのかがはじめに書きおきがないのもまずい。著 者の考えが唯一絶対とでも思っているのだろうか?もし、ほんとうに自分の考えを多くの人に納得してもらいたいのなら、もう少し自分の意見を客観的に見ない といけない。自分の意見を批判する意見などについても取り上げ、自分の論の正当性を語るべきだ。amazonの読者の評価も総じて低い。
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2 件のコメント:
私もこの手の書籍は数冊読んだことがあります。
田辺厚子の「女が外国へ出るとき」
柳原和子の「在外日本人」
などなど、うちにたくさんあるので、また来たときに借りて読んでください。
国際結婚をした日本人を批判したり、海外に出ている人を批判したりするのはよくあることですが、結局は「自分をしっかりと持っている人」でなければ、人間どこにいても誰と結婚してもだめってことなのよね。日本にいて、日本人と結婚しても離婚する人もたくさんいるしわけだし。それに気がつけば、別にわざわざこんな本を書いてバッシングする必要もなくなるわけです。。。素晴らしい人もたくさんいるわけだし。。。
そうですよね。逆に言えば、自分をしっかりと持っていればどこでだって道は開かれるということですよね。
せめてこの本のタイトルが著書の主張にあったもの、たとえば「日本の女性よ自立しなさい!」だったらそんなに批判されなかったのではと思います。
自分が「在外日本人」になるまでこのような本は手にとったことがなかったので他にも読んでみたいと思います。またいろいろ貸してください。
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