■ブログで日本の未来論が話題:ブログ文壇という新しい討論の場所
ネット上では、今、日本人の日本の現状・未来について書かれているブログが大変盛り上がっているようです。
昨日、今日(7月27日)と日本人の「日本のこれから論」が話題のブログの上位に入っていました。
ブログを利用して、全世界に自分の考えを発表しようという人が増えているんだそうです。
ネットの有効活用をしている人たちですから、20代から30代の若い層の意見が多くに偏りがちという弱点はあるかもしれませんが、私もネット世代の若者なので、どの意見にも共感できることが多く、大変興味深く読んでいます。以下、二つの海外在住者ブログより楽観論、悲観論を参考に貼り付けます。
これまでずっとなるべく言わないようにしていたのだが、もう平たく/明快に言うことにしました。
1)日本はもう立ち直れないと思う。
だから、
2)海外で勉強してそのまま海外で働く道を真剣に考えてみて欲しい。
これまでは、1)は言わずに、2)だけ言ってきた。
http://www.chikawatanabe.com/blog/2009/04/future_of_japan.html¥
- ベストケース:一世を風靡した時代の力は面影もなく、国内経済に活力はないが、飯うま・割と多くの人がそれなりの生活を送れ、海外からの観光客は喜んで来る(フランス型)
- ベースケース:貧富の差は激しく、一部の著しい金持ちと、未来に希望を持てない多くの貧困層に分離、金持ちは誘拐を恐れて暮らす(アルゼンチン 型。あの国も19世紀終わり頃には「新たな世界の中核を担うのはアメリカかアルゼンチンか、と言われたほどだったんですけど・・・・)
- ワーストケース:閉塞感と絶望と貧困に苛まされる層が増加、右傾化・極端で独りよがりな国粋主義の台頭を促す。http://www.chikawatanabe.com/blog/2009/04/future_of_japan.html¥
日本がもうダメだと言う時はだいたい経済 が取り上げられます。ヨーロッパの国々と比較するならば、日本経済は異常に絶好調と言えるくらいです。さらに言え ば日本経済がもっともっと落ちぶれても日本は大丈夫です。150年前の開国以来、西洋の知恵を取り入れるようになってからの、たゆまぬ蓄積があります。水 道網、電気、交通、ネットなどのインフラは世界最上位で、教育水準も高く、世界上位の科学技術を持つと言われています。僕の携わる高度交通システム (ITS)やロボットの研究では、技術調査というとアメリカ、EU、日本の技術動向を調べる習慣があります。いちおう今のところ、世界の3極のうちに入れ てもらっているわけです。http://mesetudesenfrance.blogspot.com/2009/07/blog-post_28.html
■国外に住む日本人からみた日本の意見への関心が高い
特に海外に住む日本人が日本を外から見た客観的な生の意見はブックマークに登録される率が高いようです。
■ブログの意見は両極端
海外在住者によるブログでの日本の現状や日本の将来についての認識はそれぞれです。ただ、国内にいない分、客観的な視点で日本を見ているのは共通していて、例えば、ほかの国をモデルケースにして未来の日本の姿を予想したり、自分が住んでいる国の人が日本をどう思っているか、というのを紹介したりと、日本国内に住む人にとって興味深い切り口です。
■日本の読者の反応の基本にあるのは閉塞感
ブログ読者の反応もまた賛否両論あります。
しかしコメント欄を眺めていると、賛否はわかれているものの、基本的には日本の将来は暗いと考えている人がほとんどという 印象を受けます。
「日本は大丈夫」との楽観的な意見のブログに同意する人のコメントの中は、「励まされる」「ありがとう」「頑張ろうと思う」「元気がでた」というコメントが見られ、すでに日本の現状をかなり暗いものという前提で捉えているのがうかがえるからです。
楽観的意見を栄養にして、これから頑張り たい、という人々のようです。
一方楽観的な見方を否定する人はもちろん、「日本はもう駄目だ」と思っています。ですからどちらも、根底に日本に対する非常にネガティブな 認識があるのは共通しています。
つまり、日本人の基本認識としては「日本はこのままだとまずい」というネガティブな認識が多数を占めており、その中で「努力すれば何とかなる」派と「何をしてももう駄目」派に分かれている、と言えるのではないかと考えます。
では、このネガティブな視点はどこからくるのかというと、やはり個々が日本の中で生活の中で感じている「閉塞感」にあるように思います。
日本に住んでいる読者の反応ではよく見るのに、海外に住んでいる人たちからは聞かれない言葉です。
海外に住んでいても日本人としての意識を少しでももっていれば、ある程度の情報はネットや新聞、ラジオなどを通して手に入れているはずなのに、海外の人からは閉塞感という言葉を聞きません。
しかしブログの反応をみていると、「閉塞感」は相当なんだなと思わされます。この閉塞感が、ネガティブな日本認識の根底にあると思われます。
この「閉塞感」の理由は
1、就職氷河期に大学を卒業した人たちはネット世代ど真ん中でもあることから、「ブログ文壇」に接する人の中には就職や生活の面で苦しい思いをしている人が多い。
2、日本国内の人が接しやすい情報、つまりマスコミ、特にTVによる影響がかなり強い。
からだと予想します。海外に住む人は生活の苦労していたとしても、日本の社会システムは関係していないし、毎日日本のTVを見る人は極端に少ないのでどちらの理由ももちません。
■TVで感じた違和感
2008年の暮れに日本に帰国した際に私が非常に違和感を覚えたのは年末の音楽番組、紅白歌合戦を見ていたときのことでした。
この一年を代表する歌手の曲とその 合間のちょっとしたエンターテイメントにより、2008年度日本の気配を嗅ぎ取ることができたのですが、
「日本の未来は大変暗いが、みんな、気を落とさずがんばりましょう。」
とやたらと煽られているような気がして別にブラウン管の向こうにいる人に励まされるほど、気を落としていない私は、「気を落としていないといけないのか」と妙な気分になりました。「日本は危機的状況なんだ」という価値観を植えつけようとしているようにすら感じました。
こんなのを毎日みていたら楽観している人でさえ、暗い気持ちになってしまいそうだと思いました。
数字で見ると、現状の日本経済はそんなに悪くないのに、海外の日本の漫画ブームだって相当なものなのに、まるで日本全体が最悪なように煽るというのは、日本人に危機感をもたせて働かせるためか、今現在まったく痛手を受けていない裕福層に不満の矛先が向かないためなのか。
よくわかりませんが、とにかく何か裏があるように勘ぐってしまうのはひねくれた見方でしょうか。日本を離れて鈍感になってしまっただけのでしょうか。
■「ブログ文壇」の台頭:「世界の中の日本」を正しくつかむ必要性
ブログへの反応をみても、海外数字でしっかり現状をとらえているというよりは、はっきり根拠はないが、日本は駄目だと思っているという人が多いように感じます。
海外在住日本人の意見は、そのような知らぬ間にかけている色眼鏡をはずすのにはちょうどよいと思います。まず「世界の中の日本」を悲観も楽観(主観)もしないで、正しく認識しようとすること(客観)が必要だと思います。
「なんとなく日本はもう駄目なんだろうけれど、実際はどうなのか」
という人たちにとって、自分の体験をもとに「世界の中の日本」を論じている海外の「ブログ文壇」の意見はこれからさらに注目を集めるのではないでしょうか。
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