今回は関係する書籍をところどころ引用しながらレポートします。
とりあげる参考文献
①「色彩のファンタジー ルドルフシュタイナーの芸術論に基づく絵画の実践」
(エリザベート・コッホ ゲラルト・ヴァーグナー 著/画 松浦 賢 訳 イザラ書房)
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②「色彩の本質・色彩の秘密」(ルドルフ・シュタイナー 西川隆範訳 イザラ書房)
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今私の通っているアトリエに通う人はみな最初、基本の3原色そして他の5つの色彩という順で
色彩の体験をしていくことになっています。
①の本に
「黄、青、赤の基本的な色はきわめて個性的なものを代表しています。」とあるとおり、
第1回 青、第2回 黄 そして、今日3回目は 赤 の体験でした。
●「赤」の本性について
「白の中の赤」についての記述で①に赤を体験するとき、質的な力強さが私たちをみたすとあります。
②には基本の3色についてもう少し端的にその性質が書かれています。
「赤」についてはこうです。
赤は生命的なものの輝きです。赤はみなさんの中に輝き入ります。赤は自らの像を内面に作ります。
赤は輝こうとも、せき止められようともしません。赤は自らのう内で均等に作用しようとします。赤は放射と滞りのあいだにいようとします。これが赤の本性です。
このようないくつかの赤についての予備知識を頭に入れて描きはじめました。
使った絵の具は 冷たい感じの赤、暖かい感じの赤 の2種です。
筆を前に先生がひとことその色の性質を体験するための描き方を助言を与えてくれます。
「二つの赤をどう使ってもいいわ。内(外)側に向かって濃淡をつけなくていいわ。
あなたのmouvement (動き)とは何か、ということを考えて、赤の中にそれを探しなさい。」
というようなことを言われたと思います。
青・黄はそれぞれ内、外に向かっての濃淡が決まっていたので、筆の方向に迷うことが
なかったのですが、今回はまずどうしたらいいか、迷ってしまってすぐに筆を置くことが
できませんでした。
結局自分の動き、とくに自分の感情が心の奥深くから生まれて、それが行動として
現れるときの魂の動き、のようなものをイメージしてなるべく無心で赤と向き合うことに
して進めていきました。
自分の内面を知るセラピーという側面も持っているこの手法には
唯一つの正解、良い完成図があるわけではないのに、
これでいいのかしら、と思ってしまう自分の不自由さに気づかされました。
お手本やいきつく場所が全く与えられないという状態、無心の状態で
筆を動かすという行為自体が、子ども時代からほとんどないという人は少なくないでしょう。
幼稚園では普段はペンや鉛筆で線描くのを好む5、6才の子どもがこのにじみ絵の
偶然で印象的な様子に夢中になって、何枚も立て続けに描く、というケースがよくあります。
そういう子どもの無心の絵には、赤の本質を楽しみながら味わった痕跡がその画用紙が
表れます。
子どもは自分と自分以外の物を同化するのが得意です。
そういえば、
子どもがにじみ絵に没頭している様子はその色に同化しようと魂を色に沈めている
ような印象が見出せました。
今日のように「赤」を体験するときには
自分が「赤」になったつもりでその本性がどんな色の広がりを求めているのか
耳を澄ますこと、できれば耳だけでなくて身心ともに「赤」に同化することが
求められるのではないかと思いました。
①の本にその思いを確信に近くしたこんな言葉をみつけました。
私たちはいま、絵画芸術の入門者として喜びを感じながら、絵筆を手に取ろうとしています。
絵画芸術の道を歩み始めるにあたって、ここで一度、「こども」に返って、自分の魂のなかの
こどもの力をふたたび獲得してみることにしましょう。
こどもたちが、色彩が人間に語りかけられるものを感じるように配慮しましょう。なぜなら色彩のなかには、全世界が存在しているからです。
こどもたちは、色彩がお互いに向かって語ることを感じ取ります。(このような教育は象徴や寓意に頼ることなく、あくまでも芸術的におこなわれなくてはなりません。)するとこどもは、このような芸術的な感覚から出発しながら、次第に紙の上に図形を描くようになります」 【ルドルフ・シュタイナー 「教育学的な若者のための講座」】
次回は5月6日(火)です。
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