2009年5月26日火曜日

にじみ絵のアトリエ


ここ2週間、急な仕事がはいったり、風邪をひいたりして、アトリエになかなか行けないでいます。写真は、一番最近の作品です。

自分の過去(中学生くらい)の心の状態を意識するようにして描くように言われました。今につながる自分の過去のバランスを取り直すような作業です。

どんなに自分が良い、と思っても、先生にここをもっと濃く、ここにもっと黄色を、とアドバイスされることがあります。そんな時は完全に先生のアドバイスにゆだねることが大事です。

2009年5月25日月曜日

学校見学 パリのデクロリー学校

                外観改装中の幼稚園

4月23日(土)大学の授業で、フランスでは唯一という「デクロリーの学校」へ見学に行ってきました。登録している授業ではないのですが、今期、エコール・ヌーベルを見学しにいく授業があると聞いて、この授業の教授にメールして参加できることになりました。フランスの学校の授業を観察でき、とても貴重な経験になりました。

見学したのは中学生の授業と小・中学生対象の「親子のアトリエ」、幼稚園の保育室です。



8:30~9:30   中学一年生 歴史&地理 
9:30~10:30  中学三年生 数学
10:00~12:30 小学校4・5・6年生 「親子のアトリエ」 料理
13:00~     幼稚園見学

というプログラムでした。科学の授業を見た生徒もいました。

「デクロリー」は学校の創立者の名前です。フランスではパリ東南のヴァンセンヌの森に面した敷地に幼稚園から中学まであります。なによりも、子どもの興味・関心から学びを広げていくことを非常に重んじています。

デクロリーの学校は、実はベルギーが発祥で、ブリュッセルのウックル(Uccle)という地区に1907年創立の学校があります。モンテッソーリ、シュタイナー、A.Sニィルの学校と同じく、エコール・トラディショネル(伝統的な学校)に対して、エコール・ヌーベル(新しい学校)といわれています。公の学校(エコールプブリック)なので、授業料・保育料は無料です。ただし、ほかの地区から入学を志願するには、地区によっては申請料のようなものを払う必要があるそうです。普通、公立の学校は水・土は休みですが、ここは土曜日もアトリエ形式で授業があります。4年生まではアトリエひとつ(親のアトリエ?)5年生以上は二つのアトリエ(ひとつは教科のアトリエ、ひとつは親のアトリエ?)、中学生以上は二つの教科のアトリエとひとつの「親のアトリエ」があります。(以下、アトリエは「工房」とも訳しています。クラブ活動、課外授業にあたると思います。)

公の学校であり新しい学校というのはフランスでも大変珍しく、日本で中学まで一環の公立のシュタイナー学校ができるのと同じくらい画期的なことです。



アクセス

Metro8番線PORTE DOREEからヴァンセンヌの森に向かって歩くこと15分
移民博物館を通り過ぎ、46番のバス停、(動物園の駅)の前が学校の入り口です。向かい側にはヴァンセンヌの動物園の大きな岩山がみえます。ちなみに動物園は改装中でした。

中学校の授業

授業のやり方はわりと普通でした。驚いたのは先生がものすごく早口で、進行が早かったのと、建物がプレハブだったことに驚きました。幼稚園は重厚な石造りの立派な建物なので、これは予算の関係なのかもしれませんが、個人的にはこれは残念でした。

歴史・地理の授業

教科書は市販のもののようでした。一応公立学校なので当然といえば当然です。中学一年生の歴史・地理の授業は古代ギリシャの歴史の復習とヨーロッパ、特にパリの地理について学習していました。白地図の読み方の確認やセーヌの流に沿って右手が右岸、左手が左岸というのをやっていました。子どもたちは、まだ無邪気さが残る感じで、ほとんどの子が積極的に手を上げていました。

数学の授業

中学三年生ともなると、子どもたちもずっと大人っぽく、生徒たちの何人かは反抗期真っ只中といった感じを受けました。先生が黒板に問題を書いている間に友達に消しゴムを投げたり、携帯をいじったりする子がちらほらいました。授業の内容は連立方程式でした。先生の質問に手を上げる生徒は少なめで、理解度は低そうでした。先生も難しさを感じていて、授業のあとにいろいろお話ししてくれました。



「親の工房」

その名のとおり、この学校の生徒の親が先生になります。歌・映像・写真・ヨガ・料理などさまざまな種類から自分でやりたいものを選びます。1期間3ヶ月で、年に3つの工房に参加できます。4年生以下が一つ、5年生から二つの工房に参加できるようでした。私は料理の工房を見学しました。



料理の工房は人気なのか、二つのクラスがあり、小学生と中学生で分かれていました。私は小学生のクラスを見学しました。小学生の会場は幼稚園の一室でした。奥に台所があります。食材をもった子どもたたちがぱらぱらとやってきました。最初にやってきたのは卵を持ってきた女の子。あまり注意しなかったのか、2パックの卵のほとんどすべてが割れてしまっていました。(笑) 感心したのは、「どうやって使おうか?」と相談が始まったこと。「先生、割れちゃった、どうしよう?」ではなくて、壊れてしまった後、そこからどうするかというのをまず自分たちで考えようという自立した姿勢が見られたことです。

子どもの自主性を大切に

先生役のお母さんは

「食材はそれぞれ持ち寄るんだけど、忘れちゃう子もいるのよ。そういう時はあるもので何とかするわ。チキンなしのチキンカレーでもなんでもできるものを。」

といいます。子どもの自主性を大切にしているので、「次は気をつけなさい。」ということもどうやらなさそう。また、

「次回もって来る食材を最後に決めるけれど、自分の分担をノートをとる子もいれば、とらない子もいるわよ。書かない子は頭で覚えてるんじゃない?」

とも語ってくれました。

私の通った普通の公立小学校では「はい、みんな連絡帳をだして!宿題はこれとこれ、と書くんですよ。」と言われたものです。ここからもこの学校の理念が見えると思います。

料理の工房にはいつもはお母さんが二人いるそうなのですが、この日は一人で忙しそうでした。このクラスでは「分け合うこと・五感で感じること」を大切にしているそうです。タンドリーチキンに使うスパイスの香りを嗅いだり、それをヨーグルトに混ぜたものを味見するように声をかけていました。




驚いたのは、とくに担当があるわけではないのに、「なにをやればいいの?」と質問する子が一人もいなかったことです。どの子も家庭にいるようなすごくリラックスした様子で、おしゃべりを楽しみながらも、ちゃんと手は動かして、自主的にてきぱきと取り組んでいました。高学年だからなのかもしれませんが、これは僕がやる!などと言い合いになることもまったくなく、非常に和気藹々とした家庭的な雰囲気でした。



出来上がったサラダです。くりぬいたきゅうり(フランスのきゅうりはすごく大きい)にツナのマヨネーズ和えをつめてあります。フランスではもともと「いただきます」と声をそろえて一緒に食べ始める、という習慣がありません。配られた人からどんどん食べている光景は日本人としてはちょっと違和感がありです。あまったり、食べたくない人は家に持ち帰ります。食材の提供に協力してくれた家族とも分かち合うこともまたよし、というわけです。
メインのタンドリーチキン。隣に座っていた女の子が、「これ、辛いから気をつけてね!」と教えてくれたのですが、確かこの女の子、スパイスをそのまま味見して辛くて水道に水を飲みに走った子だったような気がします。ヨーグルトと混ぜて調理した後はほとんど辛くないのですが、材料にはかなり辛いスパイスが入っていることを知ったのは1から料理をしたからこそです。


この日のメニューは前菜にきゅうりとツナのサラダ、メインにタンドリーチキンとご飯、デザートにティラミスでした。フランス、インド、イタリア料理というインターナショナル、というかちぐはぐな各国料理のフルコース(笑)もちろん、メニューは毎回子どもたちのリクエストにより決めています。来週はムサカとスパゲテボロネーゼです。これもまた面白い組み合わせですが、先生役のお母さんは「同じ国の料理にそろえたら?」なんてことは言いません。

幼稚園見学


午後は幼稚園見学。この学校の先生と私の大学の教授の説明もありました。

学校のサイトでみつけた幼稚園の中の写真。ここは玄関でもあり、子どもの遊べるホールのような役目もするそうです。


幼稚園の連絡帳入れと連絡帳。色使いが激しい印象ですが、フランスの公立幼稚園ではラメ入りの絵の具などもよく好んで使っています。個人的にはもっとやわらかい色が好きです。


見学後、教師室の壁に貼ってある学校の理念を教授が私たち学生に説明しているところ。赤い字で、こども、中心、興味とあります。次に大きな緑の字は子どもの要求・親・教師とあります。子どもの興味・関心を中心に据えて、育ちを支えるために、親と教師の子どもに対する理解が必要だということでしょう。

2009年5月17日日曜日

「考える遠近法」




「プロ弁護士の思考術」(矢部正秋 PHP新書)という本を読み始めたら、「考える遠近法」というのがでてきて、ちょうど考えていたことにヒットしたのでメモしておきます。

問題に適切に対処するためには、高所から風景の全体を見渡すことが大切である。しかし、遠くばかりを見て、足元の溝に落ちてはならない。ときに近くを見て、ときに遠くを見る「考える遠近法」こそが、自由自在に考えるために必要である。(P.6)

という箇所。

まず思い浮かんだのは、私の水彩のアトリエ。筆をとって、色彩にどっぷり浸り、自分の内に集中する活動と、画用紙から少しはなれて観察することを繰り返すことが非常に大切。

また、今週、大学の授業で口述発表で私がテーマに取り上げたレヴィ・ストロース。ボロロ族やナンビクワラ族とともに暮らす、フィールド・ワークをミクロの視点とすると、そこから彼らの社会構造を見い出し、彼らは野蛮ではなく、論理的な「野生の思考」の持ち主である、と結論し、西洋の常識を覆したのがマクロの視点。

レヴィ・ストロースは「考える遠近法」が非常に上手な人だと思います。よい思考のありかた。簡単なようですが、意識しないとなかなかできない。実行するのは意外と難しいものです。

フランスのパン事情




ここ数年でパリの物価はかなり上昇したと感じます。4、5年前にフランスに旅行に来た際にはどこの地区でもバゲット一本たいてい65サンチーム~80サンチームくらいだったようにおもうのですが、今、家の周りパン屋さんではふつうのバゲッドがたいてい1ユーロを超えます。バゲッド・トラディショナルだとプラス15サンチームくらいです。とくにこの1、2年で値上がりしたような。

フランス人にとってバゲットはいわば日本のご飯やおにぎりのようなもの。

いったいフランスのパン事情は実際のところどうなんだろう、と思っていたところ、メトロでもらえるフリーペーパーで見つけました。フランスのパン事情の記事。


やはり物価の上昇でバゲットの値段もここ4、5年でかなり上昇し、毎日食べるパンをどうやって用意するかというのは、フランス人にとって関心の高い話題らしいです。

おいしいパンは職人につくってもらわないとならないけれど、お米は炊飯器でもかなりおいしく炊けるので、日本人は恵まれていますね。パンのおいしさもわかるし。逆にパンしか食べないようなフランスの人は大変だろうなぁと思います。

見つけた記事には最近は製パン機を買うお家が増えていること、出来立てのパンはなかなかおいしいけれど、やはりパンはパン職人の技術にはかなわないことなどが書かれていて、町の人々のパンについてのインタビューものっていました。

例えば、

自分の地区には気に入ったパン屋がないので、製パン機を買ったら、以外においしく、とっても気入っている、というご婦人。

「私はパンには相当うるさいわ。出来立てのパンしかかわないの。全粒粉のものかシリアルの入ったの。パンドミーはクロックムッシューをつくるときや、他の料理に合わせるときにだけ買うわ。」というご婦人。

「私はパッケージされてスーパーに売っているようなパンを一度も買ったことはないわ。パン屋にできたてのパンを買いに行く、というのが好きなの。」というご婦人。

と、みなさんなかなかのこだわりようです。日本人が米の種類や炊き方にうるさいのと似ていますね。


わたしはもともとパンが大好きで日本でも毎朝パンを食べていましたし、フランスのバゲッドが大好きです。それでもやはり日本人なので米も好んで食べます。だからおいしいパンが食べたいときだけ、ちょっと高くても近所で一番おいしいパン屋さんに行きます。幸い、家から一番近いパン屋さんが近所で評判の行列のできるお店なので、たいていそこで買います。焼きたてのパンのおいしさは格別です。焼きたてのパンが食べられるので、家にはパン用のオーブントースターがないんですよ。

フランスに暮らすと、パンのおいしさの違いもわかるようになるし、お米のおいしさも再確認できます。
今日はお米の気分、今日はバゲッドの気分、とどちらも楽しめるの日本人の私はとても得をした気分です。

画像元 www.pont-leveque.co.jp

2009年5月16日土曜日

PERIPICCOLI(ペリピッコリ)



かくれんぼのエントリーでブリュッセルのむすめちゃんのことを思い出していたら、むすめちゃんのお母さんから玩具の受注販売を始めたというお知らせが届きました。



PERIPICCOLI(ペリピッコリ)
http://www.peripiccoli.com/


"ドイツ、北欧の良質のおもちゃを受注販売いたします。ドイツ製のオルゴールと天使の人形など大人向け商品もございます。 出産のお祝いに、お誕生日にぜひご利用ください。"

今のところ販売はベルギーのみですが、フランスはじめ隣国への販売は相談にのってくれるそうです。
ベルギー&近隣国でドイツ・北欧のおもちゃを日本語(もしくは英語)で購入できるのは、現地で子育て中の方には朗報ですね。毎月カタログがPDFで見られます。おもちゃの商品説明が非常に良いんです。読むだけで勉強になります。


6月にベルギーに行くことにしたので、いろいろお話がきけそう。今からとても楽しみです!


関連記事
「自分が楽しむベルギー」ラベルのエントリーはこちらからどうぞ。

2009年5月11日月曜日

フランスでかくれんぼ

「かくれんぼ」は誰もが経験したことのある遊びの一つだと思います。フランスではカシュカシュ(動詞のcacher=隠すから来ていると思う)と言います。


小さな子どものかくれんぼは「頭隠して尻隠さず」

私がフランスでみている子どもたちは兄弟二人ともかくれんぼが大好きです。このところ毎日お風呂に入った後、両親が帰ってくるまでかくれんぼをするのがお決まりのパターンとなっています。


トマは、お兄ちゃんのテオが先にお風呂に入っている間に、決まってとなりの部屋に隠れます。ある日トマがそこに隠れているのをわたしがすぐにみつけられなかったので、それ以後、かくれんぼというといつもそこに隠れるんです。


さすがに毎回同じ場所だと私もどこに隠れているか最初からわかっているわけですが、本人はものすごくうまく隠れたたつもりでいるので、「どこかなぁ~?」など言いながらうろうろしてから見つけています。何度やっても、ものすごくうれしそうです。


「かくれんぼ」のどこに面白さを感じているのか、何をもって「うまく隠れた」と思っているのか

最近は、お兄ちゃんのテオが「トマは今日もベッドに隠れているんだよ~」といって、私より先にトマを見つけることがあります。テオに「ほら、やっぱりここだよー」と見つけられたトマは「言うなーっ!嫌な奴め!」といってものすごい高い声で絶叫、顔を真っ赤にして怒ります。「そんなに怒らなくても」とおもわず笑ってしまったことがあるんですが、めざとく見つけられて「笑うなー!!」とすごい剣幕で怒られました。反省です。


彼は今、自分の姿をうまく隠すことにのみに関心があるようです。うまく布団にくるまることに楽しさを感じています。ですから、「一緒にかくれんぼしようよ、僕、赤ちゃんのベッドに隠れるんだ!」と、隠れる前に自分が隠れる場所を意気揚々と言ってってしまうことも度々です。テオに「いつもそこに隠れてるよね。だから僕もう知ってるんだ。」と言われても「ここが僕の一番いい隠れ場所なんだぜ!」と自慢気です。そして私に見つけられると「うまく隠れたでしょ?」と毎回(笑)。


ただ、もっとすごい例があって、それはベルギーのむすめちゃん(当時3歳、仮称)なんですが、彼女は鬼の真後ろで目をつぶって「隠れ」ていました(笑)



これは、幼い子どもは他の人の視点でものをみることができない、といういことをよくあらわしています。トマは足の先まで隠そうと熱心なので、当時のむすめちゃんよりは、ちょっと進んでいるのでしょう。


こうして子どもたちは遊びの中で他の人の視点に気づき、自分中心の思考から脱出していくんですね。この自己中心→他から見た自分の視点という変化は人間が自分以外の人への配慮や思いやりを学ぶ、初期のプロセスの一つと言えるでしょう。子どもの発達への本能が子どもを「かくれんぼ」という遊びに駆り立てています。だから、フランスでも日本でも世界中で「かくれんぼ」が幼い子どもに人気なのはまったく不思議なことではありません。大人はそのプロセスをこころゆくまで経験させてあげたいものですね。

2009年5月7日木曜日

藤のある風景 パリ郊外

ほぼ毎日みている風景です。パリとヴェルサイユのおよそ中間地点にあるセーヴルという町。林にかこまれた緑の多い静かなところです。今、藤の花がとてもきれいです。「マロニエ」という名前のレストランがあって、いつも閉まっているんですが、たたずまいがとても気に入っています。この向かいのお家の子どもたちをみているんです。ヴェルサイユ宮殿までいくバスが走る大通りをはさんで右と左が小高い丘になっています。駅から緩急のある坂道を3回上り下りして徒歩10分ほどで着きます。

ブロカージュ 

今日は学校に行きました。これは大学玄関口のブロカージュの写真。
目の当たりにすると、かなり衝撃的ですが中央の階段で普通にのぼれるし、ドアも普通に開きます。
ストライキまだまだやる気ありですよ、と視覚に訴える一種の意思表明なのでしょうか。大きな会合が木曜日にある関係で、木曜に本格的な封鎖が行われることが多いんだそうです。予告していない日に完全封鎖は禁止されているのでしょう。水曜はここまでとはいかずともいすや机がたくさん廊下にならんでいることがたびたびです。翌日のブロカージュの準備がはじまっているといった状態です。


ストライキの影響で、出席予定だった教育科学学部の授業が一つなくなりました。もう一つはフランス語の授業で、こちらは普通に授業がありました。スト期間の大学の授業の評価については、いまいろいろ検討中らしいのですが、全員に単位をあげる、テスト(最小範囲)をする、6月半ばまで授業を延長する、という選択肢のようです。

ゴッホの色彩感覚


少し前になりますが、4月の初めに、ゴッホが最後に住んだ村、オーヴェル・シュル・オワーズに行ってきました。駅からすぐの公園には絵の具箱とカンバスを十字がけにした、よれよれの服を着たザッキン作のゴッホ像がありました。

ゴッホが描いたのと同じ場所にその作品のパネルが立っていて、ゴッホが描いた当時の風景と現在の風景を見比べることができるようになっています。主要なところは駅付近にかたまっているので歩きでも十分楽しめますが、私は自転車で行ったので、かなり遠くのゆかりの地まで見に行くことができました。



ゴッホは、弟のテオ、ゴーギャンにたくさんの手紙を書いたそうです。ゴッホの家を訪れたときに、それらの内容の一部とともに、ゴッホの絵を見せてくれるビデオをみたのですが、一番終わりに


「私が望むように世界が変化していくならば、これから人間はもっと音楽的になっていく、つまり、色彩の本質について人々は考えるようになるだろう」

という手紙の一節が紹介されました。(私の記憶をたよりに書いているので、このフレーズそのままではないのですが)いろいろな色の毛糸を組み合わせることで絵の色彩配置を考えていた、というのを知るにつけても、ゴッホが非常に色彩の本質について深く考えていたことを思います。

「ひまわり」に代表されるように、ゴッホはとくに黄色に強いこだわりをもち、「私の黄色で世界が変わる」
と言ったそうです。そのような彼の色彩感覚にはどこかゲーテの色彩論に重なるものがあるような気がしました。というのも、ゲーテの色彩論においては最も「光」に近い色がこの黄色だからです。


とけれども、オワーズで描いた絵は光よりも闇にとらわれるゴッホが表れていました。

ゴッホがオワーズの村に来たのは、病ををひどくさせるばかりの喧騒のパリを離れ、画家の友人を多く持つガシェ医師による治療を受けながら、絵を描き続けるためでした。


ゴッホによるガシェ医師の肖像画。このパネルは医師の住んでいたところで見つけられます。この日は閉館していました。この絵は日本の企業がものすごい値段で買い取ったけれど、現在は行方不明になっているそうです。
 
ここでゴッホは毎日一つという超ハイペースで絵を描いたらしいのですが、ここでの代表作として知られる教会の絵や麦畑の絵は濃い青の空が暗くただならぬ不気味な雰囲気です。


ゴッホの麦畑。これが最期の作品。この麦畑でピストル自殺をはかったものの、死に切れず、ラブー亭の上で数日苦しみもだえ、最期はテオに見取られながら亡くなったそうです。そのテオも精神を病んで、その後を追うように亡くなり、麦畑の端にあるお墓には弟のテオと並んでゴッホのお墓があります。二人のお墓には黄色い花がたむけられていました。

ラヴー亭というレストラン(今も営業中)の上の彼の部屋も見学できたのですが、小さな天窓があるばかりのとても狭い部屋で、あまり楽しい気分になれそうにない部屋でした。パリよりはずっと平安に暮らせたのだろうけれど、弟の仕送りに頼らずにはそこでも生きることが難しかったわけだし、世の中から隅に追いやられてしまったような虚無感も感じていたんじゃないかと思います。

ゴッホが書いた手紙はいったいどういうものだったのか、もっと知りたくなりました。日本語訳もでているので、いつか読んでみたいと思います。結局生涯画家としての日の目をみることなく、弟以外に理解者はなく、自ら「光」を絶ったゴッホの生涯に思いを馳せた一日でした。


関連ページ
フランス政府観光局オフィシャルサイトオーヴェルシュルオワーズ(日本語)
http://jp.franceguide.com/home.html?nodeID=120&EditoID=33378
ゴッホの家・ラブー亭http://www.maisondevangogh.fr/uk/navigation.htm
アルルのゴッホhttp://wp1.fuchu.jp/~zenshoji/danna_g3.htm

2009年5月6日水曜日

バルセロナ ランブラス通りと市場

カタルーニャ広場につづくにぎやかな通りです。中ほどにリセウ駅があって、駅の脇にリセウ劇場があります。


たくさんの大道芸人がお仕事中でした。ランブラス通りの名物らしいです。パリにもいっぱいいるので、それほど珍しくないのすが、旅先ではつい写真をとってしまいます。
ひときわ目立っていたパン屋さん。ポストカードにもなっていたので、有名な建築のようです。これもガウディなんでしょうか?

駅から徒歩2分か3分くらいで、とりわけ人でごった返している市場の入り口がみつかります。入り口すぐのイベリコ豚のお店でひとつまみの角切りハ ム、威勢のいいおばちゃんのお店でフルーツジュースを買いました。市場は人とのコミュニケーションが濃く、その地域の食文化が手に取るようにわかるので大 好きです。新鮮で美しい野菜や果物が並んでいるのを見ているだけでも楽しいものです。



カウンターで魚介類を出す店が3つくらいありました。テレビ局の取材がきていました。おじさんインタビュー中。


お昼のパエリアと野菜の盛り合わせを買ったオーガニックのお店は市場の一番奥にありました。
魚屋さんはすでに店じまいしていました。大きな柱にガウディっぽいタイルの装飾を発見。

2009年5月5日火曜日

バルセロナ リセウのレストラン

前菜はアスパラガスのスープ。焦がしナッツがとてもいいアクセントになっていました。
メインはスペイン豚のロースト。トマトの酸味の効いたかなり濃い目のソースにポテトの付け合せ。
デザートはナッツと蜂蜜がのったヨーグルト。これもナッツが香ばしくおいしかったです。ほかはスペインの定番カスタードはじめ、ものすごく甘いデザートが多そうだったので、さっぱりしたものにしました。

こんなコースも。前菜に山羊のサラダ。


メインにイカのパスタ。パエリアのパスタ版のような感じで細くて細かいパスタにしっかりとイカの味がしみこんでいて濃厚なおいしさ。
デザートはチョコレートケーキ。見た目からしてものすごく甘そうです。

このお店はカタルーニャ広場につながるランブラス通りをまがってすこし入ったところにあるレストランで、
ガイドブックで調べていきました。ちなみにガイドブックは10年近くまえの古本なんですが、相変わらず大盛況のようでとてもにぎわっていました。

スペイン料理は脂っこいので好まない、というフランス人もいるそうですが、はっきりした味と新鮮な魚介類をふんだんに使った料理は私にはぴったりでした。

これらはワイン、カフェもつくコースなんですが、3皿を4種類ぐらいの品から選んでパン(スペインはフランスと違って有料でかならず加算されるようです)も込みで18、5ユーロというお値打ち価格。雰囲気もかなりよく、人気なのも頷けました。

2009年5月4日月曜日

バルセロナ パエリアのレストラン

4月25日夕食  旅の同行者の知り合いのスペインで都市開発をしている建築家の方と私の3人でパエリアの評判なレストランへ。
前菜は山羊のチーズのサラダ
つきだし? 豚肉のリエット
とてもおいしいパエリアのお店だそうで、メインはパエリアを迷わず注文しました。調理前に大皿のなべに入ったパエリアをお店の人がほーら、これですよ、と見せてくれましたが、一人分ずつお皿に盛られてでてきました。魚介のエキスがご飯にしみ込んでいてとてもおいしかったです。

デザートはシナモンのアイスクリーム、フランボワーズのせ。お腹いっぱいでしたが、お昼のデザートをたべなかったので、ここではなにか試してみたかったのでした。大人の味かとおもいきや、かなり甘みがつよかったです。

これにスペイン産の赤ワインをボトルで一本いれて、3人で30ユーロくらいでした。スペインの人たちの話し声はかなり大きく、レストランもにぎやかな場合が多いのですが、ここはモダンできれいな店内で、静かに食事のできるおちついた雰囲気が人と会うのにはちょうどよい空間でした。



2009年5月2日土曜日

フランスのメーデー


今日はメーデー。フランスは祝日です。職業によっても違うのかもしれませんが、この日は仕事をしなくてもお給料がでます。私の仕事で調べてみたところそうでした。そして、もしこの日に仕事をさせると、雇用者は倍の給料を払わなくてはいけないとも書いてありました。メーデーはは労働者の行進や、すずらん売りの店があちこちに出る、フランスの祝日のなかでもかなり特別な日です。フランスではこの日にすずらんをもらうと、この一年しあわせになれると言われていて、この日、行きかう人のほとんどがすずらんを手にしているといっても過言で無いほどです。この日に限って、だれもが許可をとらなくてもすずらんの売店をだすことが許されていて、私の家の前の通りにも一番近くのパン屋にいくまでに3つの売店がでていました。



すずらんとパンを買って、洗濯をして、課題を一つ教授に送り、今日はわりとすっきりした気分です。
旅で新鮮な経験をして、たくさん感性を使ったのがどうやら効いたらしいです。毎日これくらい穏やかに過ごしたいものです。

午後8時の家からの眺めです。随分日が長くなりました。9時くらいまで明るいです。空を見上げて、まだ旅先にいる友人の無事の帰国を祈ります。

バルセロナ スペインのイベリコ豚


イベリコ豚


スペイン名物のハモン・イベリコはものすごく脂が乗っていて、スライスしたとたんに脂がにじみ出てきます。今、世界の豚インフル騒動をものともせず、生ハムを堪能してきました。(スペインの豚からの感染はこれまでないそうなので)

イベリコ豚といえば、どんぐりを食べることくらいしかしらなかったのですが、調べたところ、イベリコ豚とはスペインとポルトガルの国境あたりでのみ育てられている黒豚だそうで、セラーノと表示されてあるのは白豚で別の種類なんだそう。でもそちらも高級品のようで一緒に並んでいました。どちらも同じくらいおいしかったです。ハムはスペイン語でハモンというそうで、スーパーのハモンコーナーにはどんぐりマークがついた生ハムがたくさん驚くほどたくさん売られていました。

写真はタパスを出すレストランで頼んだハムの盛り合わせ。隣はエビフライです。パリと違って魚介類がおいしいのはうれしいかぎりでした。タパスのレストランはビールやサングリアを飲みながら小皿料理をおつまみにたくさん頼めるので、日本の居酒屋のような雰囲気です。パリには無いスタイルなので、久しぶりに日本の居酒屋に来たような感じがしてとても楽しく、でついつい頼みすぎてしまいました。

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