2009年4月17日金曜日

映画

白黒はっきりしていない複眼的な作品が好きです。
最近見た3作品は、どれもまさにそういう感じで好きです。
一見は全く感じの異なる映画ですが、テーマは通じるものがあります。

Ponyo sur la falaise



日本ではすでに人気のポニョ。仏では4月8日に公開がはじまったばかり。仏語字幕版。日本語の映画はとても久しぶり。ほうけていても全部完璧に理解できるってなんて楽なんだろう。

内容には隠された意味がいろいろあるといわれているみたいですが、映画館ではそういうのはそこそこに、その世界に浸って楽しむのがいいなと思いま す。作品の裏を知るのって、そこから深いところまで考えることができればとてもいいけれど、そこでとまってしまうだけではほんとうにただそれだけ。「本当 は怖いグリム童話」的な「ダークな裏切り」とだけ捕らえる受け止め方をする今の傾向はずっとひっかかっているところですが、ファンタジーとは行きて返りし 物語、もともと基本的にあの世とこの世を行って帰る構造になっています。なぜそうなのか?そんな風にファンタジーの意味を考えられるようになったらいいけ れど、どうもまだその周辺にいて、本当の入り口を探しあぐねているように感じます。


ハロルド&モード



70年代初頭のアメリカ映画。忘れ去られた名作。日本ではなぜか廃盤。日本は物があふれていて、何でもあるようだけれど、こういう本当にいいもの がみつけられなかったりするのが残念。あまり難しい話でもないのででフランス語でDVDを買うことにします。今もST MICHELのCHAMPOという 映画館で見られます。ハリウッドのイメージが強いアメリカ映画だけれど、これは全く別の種類。生と死、物質主義への懐疑、自由、など深い内容がぎゅっと凝 縮されていてしかもユーモアもあってかなり笑える。ラストもすごくいい。ほんとにいい。



トウキョウソナタ


ポニョにつづいてこれも日本映画。リストラされた普通のサラリーマン社会から転がり落ちる様が実にリアル。一度こぼれおちたら、やり直しが利かない。そういう人生の困窮した場面でそれでもなんとかくぐり抜けようという人と、そこで死しか選べない人が出てきます。

日本の教育会では「生きる力」ブームですが、「生きる力」とはそういう困難にぶつかったときにまっすぐ向き合い、柔軟に乗り越えていける力だと思っています。「ゆとり教育」のときのように、理念と言葉だけが現実から浮き上がってしまうことのないように、と願わずにいられないし、なにか自分ができることを、ほんのささいなことでも形にしていきたいと思います。

それはそうと、夜9時半からの上映なのに、結構なお年のご婦人二人組がちらほらと。ウキウキ愉しそうだけど、家でご主人と夜ご飯食べなくていいん だろうか?とかつい心配になってしまいます。いくつになっても家庭にしばられず、自分の人生楽しんでしまうところがなんともフランス的。フランスでは失業率が日本より高く13パーセント、CDIといういわゆる終身雇用の形態での就職はとても難しい状況。移民問題、家族関係の複雑化などもあって、状況は全く同じわけではないけれど、シンクロするところもあります。死を選んだ人、(選ぶしかなかった人)について、彼女たちの目にいったいどのように見えたのだろうと気になりました。


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