2010年3月2日火曜日

フランスの家庭保育事情


今日はお仕事の研修でシャンゼリゼに程近いパリの事務所に行ってきました。(写真はあまり関係ないSt-Michelの界隈です。)

なんと偶然にファシリテータの女性が私と同じ大学、しかも同じ学部出身(まあ保育関係の研修なので当たりまえですが)だったので、わたしがついこの間課題提出でかなり悩まされた教授のことをよく知っていたりして話がはずみました。

休暇中だからなのか参加者は私を含めて6名とこじんまりで、部屋の広さや丸テーブルがアートワークとかなりシンクロしてしまいました。おかげでワークの続きのような雰囲気でわりとリラックスして参加できたのはよかったです。人数が少ない分発言の機会がたっぷりあってかなりみっちりと内容の濃い意見交換のときとなりました。

参加者は私以外今回みんな既婚者の女性で子育て中。その中の二人は自分の子どもが3人もいるのになぜベビーシッターの仕事ができるのか不思議でならなかったのですが、そのうち一人に質問してみたところ旦那さんが朝ものすごく早くから午後2時までの仕事をしているので子どもの送り迎えや子どもの食事をつくってくれるんだそうです。

自分が帰るのは8時過ぎになることが多く、帰ってからアイロン掛けや明日の準備など一仕事して朝はかなり早起きをするといっていました。他の子を育てることで自分の子を養っているわけで、なんだか妙なことになっていますよね。彼女も自分の家でアイロン掛けをしたのか、他人の家でしたのかときどき混乱するといっていました。そんな彼女に毎日の大変でしょう?と聞いたところ「いかにきちんとその日その日をオーガナイズできるかできまるわねっ!」という答えが返ってきましたよ。

教育学者のイヴァンイリイチは家事や育児など報酬が発生しない仕事をシャドーワーキング「影の仕事」といっていますが、現代はこの影の仕事が市場にでてきていて、自分の子そだてをしても報酬は発生しないので他で子育てをして生活をたてるという人もこれからもっと多くなりそうです。


日本の保育ママさんにあたる職業はヌヌ(乳母)と呼ばれたりガルダンファン(子守り)と呼ばれたりしていて、その多くが移民の女性です。

私もフランスの法律上では「移民」になりますが、彼女たちは困ったらいつでも帰ればいいや、と思っている多くの日本人仏滞在者とはまた全然違った背景を持っています。家庭育児は元植民地の国々からきている人たちが断然多い職種です。

わたしはフランスの植民地主義とはなんの脈絡もないミステリアスな極東の辺境人。必然があってフランスにやってきた彼女たちからするとなぜフランスに来たのかまったく想像がつかないのでしょうね。たいてい最初は質問攻めにされます(苦笑)。今回も然り。

ただ、今回は研修の進行役の女性が私と同じ大学出身だったり、私の大学の近くに住んでいる人が多かったりしてかなり感じよく受け入れられてるのですごく楽に交流できたのには救われました。

わたしの他はカメルーン、アルジェリア、ポルトガル、フランスはブルターニュ地方出身の人(進行役の女性)。やはりここの研修ではアフリカ出身の人が多くフランス人はほとんどいないことに機会不平等な社会を感じざるを得ませんが、それでものさまざまな文化背景の人がフランスの家庭保育という一つの項目でこうしてつながって一日意見交換ができるというのはなんとも面白いことです。まったく異文化な背景、辺境人の私には内容はもちろん彼女たちの思考回路が垣間見られるのが非常に興味深いです。内容はすべて教育に関わることですしね。

人数が少なくてじっくり話し合えたのと今回二回目でなんとなくどういう感じで進行するのかイメージできたので今回はなかなかよい経験になりました。同業の人との会話はやはりすごく興味深いです。

今回特によかったのはかなり実践的な内容だったこと。さすがラディカルなパリ8出身なだけにファシリの彼女の保育感は私とかなり近くて(これはかなり珍しい)それがとても良かったのだと思うけれど、例えばオルタナティブ教育が好きな彼女が提案する紙一枚とペンさえあればできる子どもとのストーリーテリングの手法やその訓練などでなかなかよい刺激をもらいました。




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