2009年8月3日月曜日

こどものあゆみ7月・戦いごっこは暴力ではない

昨年9月にはじまったトマとテオの家でのシッターをして感じた二人の成長の記録をもとに、彼らのあゆみをもう一度振り返ってみることにしました。

前回「こどものあゆみ」を書いたのは2008年の11月11日でした。

現在はトマ 4歳 テオ 5歳になっています。


1、 2人とも家に着くとまず第一に手を洗うこと 

2、 風呂場に飛び散ったお湯を自分で拭くこと

3、 靴下をくっつけてから洗濯かごに入れること


ができるようになったとそのとき書きましたが、じつは毎回必ずするようになったのは1の手洗いくらいで、あとはそのときの子どもの気分によってしないこともあります。靴下をくっつけるのはこの家の習慣です。テオはできますが、トマはまだできません。


昨年秋に課題(私が勝手に課題だと思うことをあげたものです)として書いたこと


1、家に着いたらコートとマフラー、通園かばんを所定の位置に置くこと。
 
2、セーターを一人で脱ぐこと。

3、 上の方のボタンの着脱

についてはだいたいクリアしましたけれど、するかしないかは子どもの気分次第です。ボタン掛けは二人ともだいぶ成功率が高くなりました。自分で挑戦する意欲はなかなか高いです。


私が感じた10月からの変化は以下の通り


トマ

1.テオとけんかした時、嫌なことがあったとき「ママー!!」と母親を求めて泣いていたのがなくなった。

2.髪の毛を洗うのはいまだに苦手だけれど、泣くことはほとんどなくなった。

3.語彙がいちじるしく増えて、話し方がものすごい生意気になった。


テオ

1.お風呂の水をいれて、服を脱いで湯船に入るまで一人でできるようになった。

2.アルファベットや小さいものがうまく書けないので、たくさん練習させられて嫌になってきている。





戦いごっこは暴力ではない

さて、これも成長過程の変化なのでしょうが、二人に共通する最近の特徴があります。それは、時々悪ふざけが過ぎること。幼稚園に勤めていたときはどうしていたっけ?と思い出しながらどんな風に対応していました。


力試しがしたい

私は、この二人の悪ふざけの無意識の目的は、力試し・相手の限界を知るということだと思います。私の隙をついて「つっついたりおしりを叩いたりしては逃げる」を繰り返して私が「じろり」と視線を送ると「きゃあー!」とボーイソプラノで歓喜します。たいてい二人だけで遊んでいるんですが、一日中、二人きりも飽きるので、ときどきは一緒に遊んで欲しいということでしょう。近所の友達の家に遊びにいったり、公園に行ったりできるといいのですが、雨が降って遊びにいけず、エネルギーが有り余っているのにやることがない、面白いことなんかないの?という状況のときは私をつっつきはじめます。


お兄さんのテオは「一緒にかくれんぼしようよ」と提案できるので、そういう場合は一緒に遊びます。でも、単に「おしりを叩いては逃げる」がどんどんエスカレートして何もしていないのに平手でバシバシ叩かれてとても痛いことがあります。私の反応を面白がって、やめて欲しいと本気で言っても通じない。

私は、これは遊び相手を求めるとともに「どれくらいやったら怒るか、どうやって僕を叱る人か」を確かめているんではと考えました。

こういうとき、ただのつまらない大人と思われたくない私。どんなにイラッとしても怒鳴り散らしてベッドにつれていくというフランス人のお決まりの「おしおき」だけはしたくない。

そういうときは、もうコレしかありません。


一対一でガチ勝負(笑)



ただし、これは「遊び」としてします。

私はこれを「戦い遊び」とか「戦いごっこ」とか言っています。フランス語では知りません。

遊びにはルールがあるので、まず大事なルールを伝えます。

初めての相手にはルールは1回につき1つか2つだけに絞ってあとは大目に見るのがコツです。

最初からルール全部は理解できませんから一回につき1つのルールを体で覚えるようにしていきます。

このとき守ってもらったルールは

私がこの遊びに応じるときだけ、子どもたちは蹴ったり叩いたりすることが許される

ということでした。二人でかかってくる・戦いごっこをして いないときに不意打ちをする、などルールを守らない場合は

「ルールを守らない人とはもうあーそばない。」

と怒った口調で言って、私は遊ぶのをやめます。

遊ぶときは大人とか子どもとかは関係なく対等だからです。

(このときわたしは子どもとまったく対等な友達の一人であり、よき生活者のモデルにもなっています。)

ただし、体の大きさと力の強さには差があるので、そこはこちらが力を加減して「対等」にします。具体的に言うと、私は主にメッタ打ち(テオはいつても両腕ぐるぐるパンチ)して来る相手の手をなるべく封じ込め、攻撃をかわしつつ、子どもに尻 もちをつかせるようにします。そして絶対勝ちます。ここもポイントです。真剣に戦います。私のルールでは床におしりがついたら負けですが、このときはまだそういうルールまで話せる段階ではなかったので、テオが勝てないことを悟ったところでやめました。私の勝ち。トマはそれを見て恐れ入って「そんなのバカげてる!!」と捨て台詞を吐いて、逃げたので不戦勝でした。


「戦いごっこ」にも意味がある

このくらいの男の子が戦い遊びが好きなのは昔から「ちゃんばら」遊びがあることからもわかります。(フランスでは昔から騎士ごっこでしょうか。子どもたちがよくしています。)これが始まるのは幼稚園では4、5歳が多いように思います。時々3歳児も影響されて見よう見真似でやったりします。

大人、とくに保育者でも母親でも、女性の多くは子どもが暴力的な遊びをするのを極端に嫌う傾向があり、そういう遊びをしてはいけない、と止めに入ろうとすることが多くあります。

しかし、多くの子どもがその年齢で求めることというのは、必ず必要があってしているのだと考えられますから、こういった一見乱暴な遊びにも意味があるはずです。

本当のところはもっといろいろな理由があるかもしれませんが、私は少なくとも

「本気で叩かれたらすごく痛い、だから誰かを叩くのは僕もやめよう。」

と叩いたり叩かれたりする経験を通して学ぶことができるという点で、力の弱い幼いときに思い切りこういう遊びをするのは意味があることだと思っています。

ですから遊びの範囲内で、ルールを決めて、子どもがそういう経験をできる場をつくってあげることができれば、一見暴力的な子どものエネルギー発散も「遊び」の枠に入れてあげることができます。


昔はもっと親や大人が介入せず、ガキ大将からなる上下関係のなかで学べたことが多かったのでしょうが、現代は大人が成り代わってあげないと、こうした遊びをうまく楽しむことが大変難しいので、こうした大人の子どもの欲求への深い理解が現代ではより求められているといってもいいでしょう。

まあとにかく、子どもは全身全霊かけてくるので、結構痛いです。

腕が真っ赤になり、激しく疲れます。

体力に自信がなければご主人に代わってもらうとか、何か代案を探してください。

でも是非からだを鍛えて、一回くらいはやってみてください(笑)。

その後の子どもたちの変わりように気づくはずです。

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